
2年前の8月に北沢峠の山小屋に泊まって甲斐駒ケ岳を目指す計画であったが悪天候に阻まれ頓挫、、未だ登頂は果たせていない。今回は日本屈指の急登で知られる黒戸尾根より山頂を目指すことにする(2014.10.29)。
ルートと実績
尾白川駐車場(5:10)⇒竹宇駒ケ岳神社(5:17)⇒笹の平分岐点(6:49-51)⇒刃渡り(8:05)⇒刃利天狗(8:27)⇒五合目小屋跡(9:01)⇒七丈小屋(10:00-07)⇒八合目御来迎場(11:01-07)⇒甲斐駒ケ岳山頂(12:27-49)⇒八合目御来迎場(13:36)⇒七丈小屋(14:06-09)⇒五合目小屋跡(14:51-55)⇒刃利天狗(15:23)⇒刃渡り(15:40)⇒笹の平分岐点(16:27)⇒竹宇駒ケ岳神社(17:31)⇒尾白川駐車場(17:37)
1)歩行時間:約12時間27分(休憩・昼食含む)
2)歩行距離:約21.0Km(eTrex30より、沿面距離)
3)累積プラス高度:約2700m(eTrex30より)
4)その他:単独、百名山は57座目
*本山行は「気ままな男の山歩き」の赤城さんの山行録を参考にさせて頂きました。
5)ルートマップ参照
竹宇駒ケ岳神社より山中へ

この山のCTは15時間10分程、、私の足では13時間程かかるであろう。実は、もう少し足を鍛えて来年の夏に登頂を目指すつもりであった。ところが11月の山行に向けて、少し長い距離を歩きたくなった。奥武蔵を縦走しても良かったが、登山地図を引っ張り出してながめていたら甲斐駒ケ岳の黒戸尾根に目が行ってしまった。日は短いが天気は安定していて山頂での快晴が確信できるため、この山行を決断した。
圏央道と中央道を走り5時前に尾白川駐車場着。舗装された大きくて立派な駐車場には車が4台しか駐車しておらず閑散。登り始める人はおらずヘッドランプを点けて一人歩き始めます。夜道を進むと明かりの灯された
竹宇駒ケ岳神社の社殿です。参拝して社殿左奥のつり橋を渡って山中に入ります。
急勾配をジグザグにひと登りして右に遊歩道を分けて進みます。大分登ったようで下を見ると駒ケ岳神社の明かりが微か・・・人里から離れて行く自分を感じます。東側の空がほんのり明るくなりましたが他は闇・・・今を暁と呼ぶのかな?道は急勾配が一段落して暫く山腹を左から巻くように緩やかに進みますが、右に折れまがって再び尾根を目指し勾配を増していきました。
鮮やかな紅葉の山腹

尾根へ至る斜面は結構な勾配ですが登山道は大きく蛇行しながら登って行くので苦しさを少しだけ和らげてくれます。雨水や登山者の踏み足で浸食されたのか大きく抉られた箇所が目立ちます。この辺りまで登ってくると頭上が少し明るくなりミズナラやブナ?等の紅葉が残っていることが分かります。やがてオレンジ色の朝陽が紅葉を照らし始め、
その美しさを感じることが出来ました。
木々の隙間から一瞬ですが甲斐駒ケ岳と思われる白い頂き(花崗岩)を見ました。遥か先ですね!そして短い細尾根を越えると横手駒ケ岳神社からの道と合わさる
笹の平分岐にさしかかりました。ここまで1時間40分ほど山行は始まったばかりです。
難所を越えて刃利天狗へ

笹の平から1628mピークの北側の斜面をトラバースで進み、やがて八丁登りと呼ばれるクマザサの長~い樹林帯です。登るに従い北寄りの風が強くなり身体が冷えそうなのでウインドブレーカを羽織り直します。展望はありませんが前屏風ノ頭を北に巻いた辺りで今日初めての
富士山と地蔵岳を展望できます。
そして
刃渡りまで辿りつきました。両脇が鋭く切れ落ちた岩稜で、しかも強い風が吹いてましたが鎖でガードされているため危険を感じることなく
八ヶ岳や富士山を眺めながら通過です。刃渡りを越えると直ぐに
刃利天狗への急登です。こちらは
梯子やロープ・鎖が設置されていますので呼吸を整えながら一歩一歩越えて行きます。
屏風岩の核心部から七丈小屋

刃利天狗から黒戸山の北側を巻くように緩やかに進み、その先でやや急な坂を下ると5合目小屋跡の平坦地です。ここまで到り
甲斐駒ケ岳の山頂付近がはっきりと仰げました。まだ遠いですね・・・手前には屏風岩と8合目のピークが立ちはだかります。特に屏風岩へは
長い梯子、
何段も連なる梯子そして、最後には
垂直に近い梯子2個とそれに続く
3m程の垂直の鎖(足掛かりはしっかりしている)が出現し高度感もあり本ルートの核心部です。ここまで4時間以上歩き、疲れも溜ってきているので、呼吸が乱れないようにゆっくりと慎重に越えて
七丈小屋へ辿りつき、今日初めてザックをおろして休憩します。
大展望が開け出した8合目へ

七丈小屋をあとにしてテント場へ向かい始めると今日初めての登山者・・・大きなザックを背負った女性単独者が下りてきました。寒くて耐えられない程の強風ではないようですので一安心です。
脚はもう登りたくないと言い始めましたが何とか・・・鎖や梯子を越えて登って行くとハイマツが目立つようになり頭上が開けてきました。振り向くと
北アルプス~八ヶ岳~奥秩父の大パノラマです。何度も立ち止まってはこの光景を眺めながら
八合目御来迎場に着きます。
ここから仰ぐ
甲斐駒ケ岳は摩利支天を従えて大迫力です。あの険しい岩肌の何処から登って行くのでしょう!
念願の甲斐駒ケ岳・・・見渡す限りの大展望

8合目からは鎖まじりの花崗岩稜帯を進み、これを越えれば
狭い岩場を両手を使ってよじ登って行きます。富士山が徐々に高くなって鳳凰三山を越えて行きますね。苦しいですがこれを見ながら登るのは心地よいです。そして、この岩場を這い上がると
鉄拳の刺さる烏帽子岩と摩利支天の間から富士山・北岳・間ノ岳が展望できた。このルートを象徴するような光景・・・私の目に焼きつきました。
烏帽子岩を越えて回り込むようにハイマツの岩場を緩やかに登って行きます。前方に目指す山頂の石祠が見えてきました。真っ暗な麓から延々登ってきたからか・・・歩いているのは本当に自分なのか?・・・一瞬奇妙な気持ちになりました。
そして、
東峰を見送って
北沢峠分岐を越えて
甲斐駒ケ岳に登頂を果たします。山頂には若い親子が既に登頂を果たし寛いでいます。お子さんは小学生かな(すごい!)。。私は頂上の縁をグルリト歩きながら展望を楽しみます。
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中央アルプス、御嶽山(
山名付)
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北アルプス~八ヶ岳(
山名付)
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奥秩父山塊(
山名付)
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富士山~南アルプス(
山名付)
天気は快晴で展望は申し分なし。。まさに最高でした!
長い長い道を下って山旅が終わる

山頂の展望を楽しみながら昼食をとったら早々に下山です。1時間ぐらいは寛ぎたいですが暗くなる前に刃渡りまでは下りたいので長居はできません。チョット勿体ない。
七丈小屋の先の難所を慎重且つ淡々と下り五合目で一息。少々辛い登り返しを越えると
刃利天狗辺りで山頂の親子さんが迫ってきました。道を譲り4時前に
刃渡りを越えました。
この先は単調な笹の下りが延々つづきます。足が大分疲労したようで落ち葉に隠れた根っこなどで何度か躓きそうになったり足首を挫きそうになりましたので意識的にペースを落として八丁登りを下ります。分岐点では休憩中の親子さんと言葉を交わして先に下ります。夜明けを迎えた樹林帯で今度は日没を迎えヘッドライトを頼りに下ります。長い長いジグザグの下り。。。ライトで人間が近づいたのを察したのでしょうか?獣(さる?)が声を上げています。一旦緩やかに下って行くと沢の音が近づき十二曲がり、下の方に小さな明かりが見え始めました。もうすぐ吊り橋ですね。。膝の調子が今一つになったので吊り橋の手前で親子さんに先を譲り、
駒ケ岳神社で一礼して駐車場へ帰還を果たしました。
今日は人里近い神社から歩き始め、真っ暗な雑木林の山中、コメツガと笹の斜面、刃渡り、梯子・鎖、岩場の斜面を越えて花崗岩の美しい甲斐駒ケ岳の山頂に辿りつき、素晴らしい展望に出逢えました。長くて辛い素晴らしい旅をした心地・・・達成感抜群の山行として記憶に残ることでしょう。
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撮影した写真のアルバム
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